- 翻訳者になりたいけど何から始めれば良い?
- 長文読解が苦手でも翻訳者になれる?
- 独学でもできる?翻訳学校の講座を利用するメリットは?
- 現役翻訳者おすすめの英語学習法を知りたい!
翻訳者を目指している皆さん、何から始めたら良いかわからずに悩んでいませんか?
「独学と翻訳学校/スクールのどちらが良い?」と迷っている人もいるでしょう。
近年では、「英語力がなくても翻訳者になれる」を謳った高額な講座も出回っているので注意が必要です。
「AIがあればTOEIC300点でも翻訳者になれる!」みたいな講座もあるよね?
はっきり言ってそれはデマですね。高度な英語力は絶対に必要です
元から英語ができないと無理ってこと?
それは違います!基礎からしっかり学習すれば十分にチャンスはありますよ
- まずは「独学か通信/通学か」を決めて学習計画を立てよう!
- 長文読解は翻訳の基本。基礎英文法から始めて苦手を克服すべき
- 独学よりも翻訳学校の通信/通学講座のほうが実践的
- 現役翻訳者にもスキルアップが必要。私のおすすめはアプリ学習
翻訳の仕事は在宅でもできるというメリットがあり、転職や独立にもおすすめです!
現役の英日翻訳者である私が、「翻訳者になるための英語学習法」「独学と通信/通学講座との違い」「プロのスキルアップ法」について詳しく解説します。
英日/日英翻訳をするために必要なスキル
英日翻訳 (英語から日本語)、日英翻訳 (日本語から英語) のいずれの場合でも、高度な英語力と日本語力が必要です。
英文法と日本語文法をしっかりと理解しておけば、高度な翻訳にも対応しやすくなります。
実際の翻訳業務を受注するには「翻訳する分野の専門知識」も必要ですが、基本となるのは語学力です。
翻訳学校/スクールでは、語学的な知識以外にも以下のようなことを学びます。
- 多義語や動詞に対して適切な日本語を取捨選択するスキル
- 複雑な英語構文から意図を解釈するコツ
- 辞書の選び方や効果的な活用法
- 専門分野ごとに異なる訳出テクニック
- 翻訳支援ツール (CATツール) や翻訳リソースの使い方 など
英日翻訳には「誰が読んでもわかりやすく、文法的に正しい日本語」が求められるので、翻訳講座での訳出テクニックが役立ちます。
「英語力」って言うと、どのくらいのレベルが求められるの?
本格的に翻訳スキルを学び始めるためには、大学受験レベルの英語力が必要です
英語翻訳者になるための勉強⽅法
翻訳者になるために必要な英語学習を、以下の3つにわけて解説します。
- 基礎学習
- 応用学習
- 実践学習
基礎学習:⽂法・語彙の習得
文法知識がないと長文には対応できないので、まずは文法から始めましょう!
⽂法書やYouTube動画で英語の基礎力を固める
確実に英文法をマスターするには、文法書を一冊やり込む方法が最も効果的。
「紙ベースだと勉強が苦痛」「隙間時間に勉強したい」という人にはYouTubeもおすすめです。
TOEIC満点を100回以上達成している森田鉄也先生の「ただよび 基礎英文法講座」がおすすめ!
シリーズ化された動画をすべて視聴すれば、基礎英文法を完全にマスターできます。
私は「ただよび」の講座で勉強した後に、「ロイヤル英文法」という文法書で徹底的に知識を習得しました。
文法書は一冊だけをひたすらやり込みました!
総まとめとしてオンラインの文法講座も受講しましたが、一気に英語の理解力が深まったと実感しています。
おすすめの文法書(英語)」はこちら
「日本語力の強化に最適な本/テキスト」についてはこちら
TOEICなどの試験問題で長文読解力を強化する
長文読解力を高めるためには、TOEICや英検のリーディング問題で練習すると良いでしょう。
特に、ビジネステーマで構成されたTOEIC Part 7の問題がおすすめです。
TOEICの勉強は翻訳にも役立つの?
もちろん!TOEICスコアでクラス分けしている翻訳学校もありますよ
TOEICの長文問題を解く前に、基礎的な英文法をマスターするようにしましょう。
文法から始めることで理解度が格段に上がります!
「TOEIC対策」についてはこちら
応⽤学習:翻訳練習と弱点の克服
文法を一通りマスターしたら、翻訳の実践力を強化します。
英文を読んで訳出する練習をする
実務で翻訳する英文を想定して、比較的長い英文を読んで翻訳します。
独学で練習する場合は、多言語化されているウェブサイトがおすすめ!
英語と日本語の両方で表示できるページを探し、言語を切り替えて答え合わせをするイメージです。
「English」表示で英文を翻訳したら、「日本語」表示に切り替えて訳をチェックするのかな?
そのとおり!プロの翻訳者が訳した日本語訳を参照できますよ
「多言語化されたページの活用法」については、この記事の後半で解説しています。
添削やフィードバックをもとに訳文を改善する
自分が翻訳した訳文は、誰かにチェックしてもらうようにしましょう。
独学でも上記の方法 (多言語化されたページで答え合わせ) でチェックできますが、翻訳講座でプロに添削してもらうのがおすすめ!
翻訳学校/スクールではレベルに合わせた講座を開講しているので、積極的に活用してください。
- プロの翻訳者から的確なアドバイスをもらえる
- 「どこが間違っているのか」「どのように工夫すれば良いのか」を把握できる
- 本やネット情報には載っていないテクニックを学べる
- 実践で使える訳出テクニックが身に付く
「フェロー・アカデミー」での添削指導が今でも役立っています!
私が翻訳者デビューするきっかけとなった「フェロー・アカデミー」についてはこちら
実践学習:翻訳会社への応募&翻訳コンテストへの参加
翻訳の練習を積んで自信がついたら、いよいよ「トライアル」に挑戦します!
トライアルとは「翻訳会社が実施する入社試験」のようなもの。
また、「翻訳コンテスト」は翻訳の実務経験の有無にかかわらず参加できるので、スキルアップに最適です。
翻訳会社のトライアルを受験する
ほとんどの会社で入社試験として「トライアル」を実施しており、合格すると企業と契約できます。
英日翻訳の場合、500~1,000ワード程度の英文を翻訳するテストが一般的。
企業によって出題形式が異なり、専門分野の知識などを問われる場合もあります。
「翻訳トライアルに合格する方法」はこちら
どのタイミングで受ければいい?
翻訳講座を修了したタイミングがベストです。
独学の場合は、長文の翻訳に慣れてきたら挑戦してみましょう
翻訳コンテストに応募する
翻訳者向け情報サイト「アメリア」では、定期的に翻訳コンテストを開催しています。
- 定例トライアル
- 翻訳トライアスロン
- 一行翻訳 など
アメリアには「クラウン会員制度」があり、クラウン会員に認定されるとトライアル免除などの特典を受けられます!
クラウン会員は「実際の仕事で通用するレベル」を証明する基準であり、コンテストで高評価を受けることで認定されます。
参加には有料会員登録が必要ですが、翻訳に特化した求人や学習リソースなども豊富なのでコスパは最高です。
私もアメリア会員です!アメリア経由でスカウトをもらったこともあります
翻訳者ネットワーク「アメリア」の詳細はこちら
独学と通信/通学講座との違い
「独学か?翻訳学校の講座か?」の選択に迷っている人のために、それぞれのメリット・デメリットを解説します。
独学で翻訳を勉強するメリット・デメリット
独学の最大のメリットは、お金をかけずに手軽に勉強できる点です。
通学/通信講座のような時間制限もないので、好きな時に自分のペースで学習できます。
その自由さゆえに「ついサボってしまう」「成長を実感できない」といったデメリットが生じる可能性も。
独学を選択する場合は、ある程度のリスクがあることも理解しておきましょう。
翻訳学校/スクールを利⽤するメリット・デメリット
独学で勉強して翻訳できるようになっても、自分の訳文の良し悪しを判断するのは至難の業・・・
翻訳学校/スクールを利用すれば、経験豊富なプロの翻訳者が厳しくチェックしてくれます!
モチベーションの面でも、受講料を支払うことで「やるしかない!」という覚悟を決めることができます。
ぺんさんは翻訳講座だよね。何が良かった?
あれこれ手をつける必要がなく、講座の課題だけで実力が身に付いたことです
プロの添削を受けた感想は?
「自分では絶対に気付けないミス」や「こなれた訳し方」がわかるので最高でした!
【独学】英語翻訳の勉強を効果的に続けるコツ
独学派の人向けに、学習効果を高めるコツを紹介します。
定期的な学習習慣を⾝につける
独学での最大の課題は「自分ひとりで毎日学習を継続できるか」ということです。
「◯か月でトライアルを受験できるようにする」といった明確な目標を立てて、詳細な学習スケジュールを立てましょう。
本やウェブサイトを活用する場合、まずは英語の基礎力をつけてから翻訳学習に進むとスムーズです。
英語リーディング学習に役立つアプリはこちら
信頼できる本やリソースを使用する
翻訳に関する本やテキストはたくさんありますが、出版元が信頼できるものを選ぶようにしましょう。
たとえば、翻訳団体や実績のある翻訳者が出版しているものがおすすめ!
- 「通訳翻訳ジャーナル」「通訳者・翻訳者になる本」(イカロス出版)
- 「翻訳スキルハンドブック」(駒宮俊友)
- 「越前敏弥の日本人なら必ず誤訳する英文」(越前敏弥)
多言語化されたウェブサイトで答え合わせする場合も、大手企業のウェブサイトを使用すれば安心です。
【通信/通学】英語翻訳の勉強を最短で進めるコツ
通信/通学派の人には、講座のサービスをフル活用することをおすすめします。
講座期間中に課題をすべて提出する
各講座には修了までの期間が設定されています。
通信講座の場合、3~6か月程度で修了できるものが一般的。
期間中に提出すべき課題 (訳文の提出など) があるので、できるだけ前倒しで提出できるように計画しましょう。
どんな課題が多いの?
「英語を日本語に訳す」または「日本語を英語に訳す」課題がほとんどです。他には、文法の穴埋め問題などもあります
通学講座の場合は授業時間が決まっていることが多く、通信講座よりもスムーズに自己管理できます。
課題提出が期限に遅れてしまう場合や出席回数が足りない場合、講座の修了認定を受けられないことがあります。
積極的に講師に質問する
通学講座ではもちろん、通信講座でも講師に質問を送れる場合があります。
メールなどで質問を送ると数日以内に回答をもらえるので、積極的に活用するようにしましょう。
- 文法 (分詞構文) の把握が難しく、自分の訳が合っているかどうか自信がない
- 多義動詞の訳し方に迷っている
- IT分野では「〇〇」という文言は一般的か?
質問回数に制限がある場合が多いので、ピンポイントで質問することも重要です。
予習と復習を徹底する
翻訳講座では、まずテキストや動画などでインプットします。
アウトプットとして課題を提出しますが、毎回の予習&復習とセットで行うことが大切です。
講師による添削が返ってきた際にも必ず復習するようにしましょう。
- テキストを読んだ後すぐに練習問題や課題に取り組む
- 答え合わせをしたら再びテキストの内容を復習する
- 添削が返ってきたらテキストを見返しながら復習する
現役の英日翻訳者がやっている英語学習
私は5年以上翻訳の仕事をしていますが、今でも英語学習を続けています。
継続的なスキルアップは翻訳品質の向上につながります
今回は、私が実際にやっている学習方法をいくつか紹介します。
アプリを活用した隙間時間でのスキルアップ
翻訳の仕事では長時間パソコンに向かっていることが多いので、英語学習はスマホアプリでサクっとやるようにしています。
「1日20分は勉強する」というルールを決めて、お気に入りの英語学習アプリを交互に使い分けています。
翻訳の仕事でもリスニング力やスピーキング力を問われることがあり、英語4技能をまんべんなく高めることが重要です。
「英語4技能を効率的に習得する方法」はこちら
ビジネス英語を統合的に学べる「スタディサプリ」はこちら
「スピーキング力強化におすすめなアプリ」はこちら
「リーディング学習におすすめなアプリ」はこちら
セミナーでの翻訳スキルの向上
翻訳者向けのセミナーをチェックして、予定が合えば参加するようにしています。
セミナーの情報は会員向けに公開されていることが多いので、気になる団体に加入して情報収集すると良いでしょう。
勉強会を開催しているSNSコミュニティもあり、仲間と一緒に勉強したい人におすすめです。
- 翻訳者ネットワーク「アメリア」
- 日本翻訳連盟 (JTF)
- 日本翻訳者協会 (JAT)
- 翻訳勉強会「十人十色」:Facebookコミュニティ
私は「アメリア」と「JAT」の会員です!
翻訳の勉強に関するよくある質問
翻訳学習者向けに、一般的な質問をまとめました。
翻訳支援ツール (CATツール)はいつ購入すべき?
翻訳学習中にCATツールを購入する必要はありません。
翻訳会社によって指定のツールが異なるため、買ったまま使わなくなってしまうこともあります。
導入のタイミングは、「トライアルに合格して案件を受注できるようになってから」「会社から使用ツールの指定を受けてから」でOKです。
翻訳者に必要な資格はある?
翻訳者になるために特別な資格は必要ありません。
しかし、選考時に英語力の証明となる資格やテストスコアを提示できれば、実務経験が浅くてもアピール力が高まります。
選考基準として一般的なのは、TOEICや英検などの英語力判定試験です。
TOEIC高得点や英検準一級以上を取得していると強みになるので、ぜひ挑戦してみてください。
「翻訳者が目指すべきTOEICスコア」はこちら
翻訳学習中の挫折を回避するコツは?
誤情報や他の学習者の意見に惑わされないことが重要です。
翻訳者デビューや収入アップの時期には個人差があり、早ければ成功!というわけではありません。
自分がやっていることを信じて、基礎からコツコツ積み上げていけば必ず実力がつきます。
また、SNSには「翻訳はオワコン」「英語力がなくてもAIがあれば翻訳できる」といった極端な情報も飛び交っているので、モチベーションを削がれないようにしましょう。
「詐欺まがい講座」と呼ばれる高額で悪質な翻訳講座にも注意してくださいね
自分に合った学習スタイルを選んで確実に翻訳者デビューしよう!
今回は、翻訳講座がきっかけでデビューした私の実体験をもとに「翻訳者になるための英語学習法」「独学と通信/通学講座との違い」「プロのスキルアップ法」を解説しました。
この記事のポイントをまとめると・・・
- まずは「独学か通信/通学か」を決めて学習計画を立てよう!
- 長文読解は翻訳の基本。基礎英文法から始めて苦手を克服すべき
- 独学よりも翻訳学校の通信/通学講座のほうが実践的
- 現役翻訳者にもスキルアップが必要。私のおすすめはアプリ学習
翻訳者としてのキャリアを実現するために、自分に合った学習スタイルを見つけてくださいね。