- 英語翻訳をやってみたいけど自分は向いてる?向いてない?
- 元々英語が得意じゃないと翻訳者にはなれないの?
- 語学力以外に必要なスキルはある?
- 翻訳者として成功するための秘訣を知りたい!
翻訳者になりたい皆さん、自分に翻訳者としての適性があるかどうか気になっていませんか?
私自身も英語&日本語は好きでしたが、「語学が得意なだけで翻訳収入を得られるの?」と不安を感じていました。
確かに「翻訳者=英語力がめっちゃ高い」っていうイメージがあるよね
語学力は必須です。でもそれだけじゃありません!
たとえば何が必要?
コツコツ作業できる忍耐力や探究心があると有利です
- 翻訳者は「学習意欲が強い人」「何でもきちんとしたい人」に最適!
- 翻訳者として成功しているのは「元から英語ができる人ばかりではない」
- 語学力の他にも「コミュニケーション能力」「素直さ」「自己管理能力」が重要
- 「豊富なつながりを持つ人」や「アドバイスを素直に聞ける人」は成功しやすい
クラウドワークスで実施した調査の「翻訳者ってどんなイメージ?」という質問では・・・
- 帰国子女や海外経験アリの英語上級者
- 学生時代からめちゃくちゃ英語ができる人
- 高学歴のエリート
といった回答が返ってきましたが、決してそういう人ばかりではありません!
少なくとも私は、どれにも当てはまりませんでした・・・
今回は、5年以上英日翻訳の仕事をしている私が、「翻訳者に向いている人&向いていない人の特徴」「翻訳で成功するための心構えとスキル」を紹介します!
翻訳者に向いている⼈の特徴
翻訳者には語学力(英語と日本語のスキル)が欠かせません。
語学力の他にも、以下のような資質を備えた人が翻訳者に向いています!
①⾔語への情熱と学習意欲がある
「英文を理解できる知識」と「正確で自然な日本語で表現するスキル」が英日翻訳の要です。
ただ英語を読んで訳すだけでなく、より自然な表現を追究する意欲がある人はかなり有利!
また、新しいツールや業界の傾向に応じて常に学び続ける必要があるため、継続的な学習が苦にならない人におすすめです。
翻訳の継続学習が続きやすい人とは?
- 英語と日本語の違い(用法・文化的背景など)を追究するのが楽しい
- 日ごろから正しい文法を使えるように意識している
- 不自然な言い回しや冗長な文章が気になる
- 新語や流行りの表現に敏感
- 「文章で何かを伝える」ことが好き etc.
バイリンガルや海外経験が豊富な人が有利なのは確かですが、コツコツ勉強している人はもっと有利!
「日本語にこだわりがある人」はかなり重宝されます。
英語だけでなく日本語も好きな人におすすめです
②正確性を重視している
翻訳には、創作的な要素よりも「忠実に意図を伝える正確性」が重要です。
「トランスクリーエーション(transcreation)*¹」と呼ばれるキャッチーな翻訳が求められる分野もありますが、産業翻訳では「原文の意図を忠実に伝えること」が基本。
常に正確性にこだわる人は翻訳会社からも重宝されます!
正確性にこだわる人とは?
- 「なぜ “will” ではなく “would” が使われているのだろう?」といった疑問を持てる
- 文法や用法の正確性を求めて辞書で調べるのが苦にならない
- 誤字・脱字を見ると気になる
- 統一感のある文章に魅力を感じる
- 「てにをは」の使い方に気をつけている etc.
添削が好きな人にも向いてそう!
*¹ 「翻訳(translation)」と「創造(creation)」を組み合わせた業界特有の造語。翻訳にクリエイティブな要素を盛り込むことで訴求力を高めることが目的。
③⾃⼰管理能⼒と時間管理能⼒がある
フリーランス翻訳者の場合は特に、在宅で仕事をするケースが多くなります。
「いつでもどこでも仕事できる」というメリットがある反面、自ら計画して仕事を効率化する能力が欠かせません。
海外の翻訳会社とやり取りする場合、時差を考慮した作業が必要になることも!
フリーランス翻訳者に必要な自己管理
- 作業時間の設定と確保
- 効率的にこなせる仕事量の見積もりと調整
- 健康を意識した生活サイクルの工夫
- 自主的な作業の効率化
- 収入/支出と受注する仕事の管理 etc.
仕事量の減少や単価ダウンを想定したリスクマネジメントも重要です
④知的好奇⼼が旺盛である
翻訳には言語力が最も重要ですが、さまざまな専門分野に特化した知識も必要です。
たとえばIT翻訳では、目まぐるしく変化する技術を把握するのが大変・・・
常に新しい情報を取り入れるために、本で勉強する&セミナーで学ぶといった労力も欠かせません。
知的好奇心が旺盛な人とは?
- トレンドに敏感・新しいものが好き
- 自分が知らないことを学ぶのが楽しい
- 得意分野や夢中になれる分野がある
- 物事の過程や理論を知りたくなる
- 人に質問したり答えたりすることが苦にならない etc.
語学の勉強以外にも「労力を惜しまず知識を習得したい」という人にピッタリです!
⑤コミュニケーション能⼒が⾼い
フリーランス翻訳者に限ったことではありませんが、オンラインでは特に自発的なコミュニケーションが必要です。
たとえば、「こまめにメールをチェックして素早く返信する」は基本中の基本。
会社の担当者や翻訳者仲間とのつながりを意識して、スムーズに対応できる能力は大きな強みです!
コミュニケーションが重要な理由
- レスポンスが遅いと仕事をもらえなくなる
- 仕事上のつながりがスキルアップや仕事獲得のチャンスになる
- 上司や同僚から信頼してもらえる
- 仕事仲間と仲良くなることで仕事がやりやすくなる etc.
私も仕事仲間とランチに行ったりしています
⑥柔軟に対応できる素直さがある
スタイルガイドや用語集などに従って、クライアントの要望に応えることが翻訳の基本です。
会社によっては、自分の翻訳に対するフィードバックをもらえる場合もあります。
しかし、「何でこれが間違いなんだ!」という反発心が強いと翻訳はうまくなりません・・・
翻訳会社から嫌われてしまう人の特徴
- フィードバックに対してお礼や返信をしない
- ミスを指摘されると腹を立ててしまう
- 指摘されたミスの振り返りをしない
- 同じミスを何度も繰り返す/改善の兆しがない etc.
指摘やアドバイスを素直に受け止め、期待に沿った翻訳を提供できる柔軟性が必要です。
反発的な人や同じミスを連発する人は長続きしません・・・
翻訳者に向いていない⼈の特徴
翻訳者に向いている人の特徴を紹介しましたが、向いていない人の特徴もいくつか挙げておきます。
「自分に当てはまるかも?」と思ったら、他の選択肢も考慮しながら慎重に検討してみてくださいね。
①集中⼒や忍耐⼒に⽋ける
翻訳には長時間のデスク作業や集中力が必要。
「長文を読む」「ひたすらタイピングする」「長時間座りっぱなし」といった仕事スタイルに苦痛を感じてしまう人には不向きです。
忍耐力や集中力に欠ける人の特徴
- 机に向かって作業するのが苦手
- 人と話せない&外出する機会が少ないことにストレスを感じる
- 単調な作業が苦手
- 仕事のバリエーションが少ないとつまらなく感じる etc.
辞書を引きながら一文一文を丁寧に扱う必要があるので、ひとつのことに集中できる力は超重要です!
もくもくと作業できる人じゃないと難しいのかあ・・・
②⼀⼈での作業が苦⼿である
フリーランス翻訳者の場合、基本的には一人での作業になります。
私は週に1、2回オンライン会議に出席しますが、それ以外はメールやチャットでのやり取りのみです。
「一人だとやり甲斐を感じられない人」や「常に人と接していたい人」にはあまりおすすめできません。
一人作業が向かない人の特徴
- 仕事仲間と密に交流したい
- 一人だと集中力が続かない
- どちらかというとアウトドア派である
- チームでの仕事にやり甲斐を感じる etc.
私のようなネクラの人に向いているのかも・・・笑
③楽に稼げる仕事に魅力を感じる
巷では「英語ができなくてもAI翻訳で楽に稼げる!」と謳う講座が出回っていますが、それに魅力を感じてしまう人は要注意!
「時間をかけたくない」「楽な仕事がいい」というマインドで翻訳をやるのはかなり厳しいです・・・
翻訳が楽して稼げる仕事ではない理由
- 継続的なスキルアップが欠かせない
- 駆け出しの頃は低単価での案件受注もやむを得ない
- 労力への対価として報酬を得る仕事である
- スキルが足りないと安定的に仕事をもらえない etc.
実力に応じた単価アップは可能でも、労力に対して夢のような高収入を得られるような仕事ではありません。
「学ぶことが楽しい」と思えるマインドがあれば収入アップも可能です
詐欺まがい講座の実態については、こちらの記事で解説しています。
④面倒くさがり&⼤雑把である
翻訳の仕事には細かい作業がつきものです。
一字一句をチェックして正確な訳文に仕上げることが必要なので、綿密な作業が苦手だと難しいでしょう。
翻訳に大雑把が通用しない理由
- 誤字・脱字などを一つずつ丁寧にチェックする必要がある
- 翻訳にも見直しにも時間がかかる
- スタイルガイド・用語集など確認すべき資料が多い
- 日常的な文書作成以上に詳細なチェックが必要 etc.
たとえば、膨大な資料の確認や修正依頼などに苦痛を感じてしまう人にはおすすめできません。
「辞書引きが面倒!ウェブ検索だけじゃダメなの?」という人にはストレスかもしれません
翻訳者におすすめの辞書については、こちらの記事もご覧ください。
翻訳者に必要なスキルと知識
「翻訳者に向いている人&向いていない人」の特徴を紹介しましたが、以下の基本スキルはすべての翻訳者に必要です。
- 語学力
- 専門分野の知識
- ソフトやツールを使いこなす能⼒
語学⼒
英日翻訳の場合、英語力はもちろん日本語力(国語力)も必要です。
今はまだ英語力が足りていないと感じても、TOEIC900点程度を目標にして勉強すれば大丈夫!
翻訳者として身に付けたい英語力の目安はこちらです。
- TOEIC900点以上
- 英検準1級以上
- 長文読解力
- 大学受験レベルの英文法の理解 etc.
英文を適切に解釈できていても、自然な日本語で表現できないと意図が伝わらないことも・・・
英語だけでなく、日本語の文法や用法も理解しておく必要があります。
言語を扱うプロとして、辞書を引きながら日本語の知識も増やしていくことをおすすめします。
- 「てにをは」を含む基本的な文法の理解
- 正しい漢字表記・送り仮名使い
- 読みやすく自然に表現する力(句読点の活用/冗長な表現を避ける)
- 表現の幅を広げるための語彙力(類義語の使い分け) etc.
専⾨分野の知識
産業翻訳には多数の分野があり、翻訳者は専門分野を絞って仕事を受注するのが一般的です。
自分の専門分野を決めたら、分野に特化した知識を身に付けましょう!
- 専門用語や各分野特有の訳し方がわかる
- 背景知識があることで英文を解釈しやすくなる
- 特定の分野にコミットすることで会社から信頼してもらえる
たとえば、どんなに語学力が高くても医療に関する知識がなければ医療翻訳はできません。
翻訳会社が翻訳者の専門分野を重視しているのはそのためです。
前職での経験を活かしたり、興味を持てる分野を選ぶとよいでしょう
翻訳の専門分野については、こちらの記事で解説しています。
ソフトやツールを使いこなす能⼒
産業翻訳では、ほとんどの翻訳会社が翻訳支援ツール(CATツール*²)を導入しています。
字幕翻訳でも専用のツール上でセリフを付けることが多いので、ツールを使いこなせる能力は必須!
さらに、パソコンにソフトをインストールして使う辞書も多くなっています。
*² Computer-Assisted Translation tool
- CATツール(Trados Studio、Phrase、memoQなど)
- 字幕翻訳ツール(CaptionHub、Subtitle Editなど)
- 辞書専用ソフト(LogoVista、EBWin4など)
翻訳者としてデビューしてからでも遅くはありませんが、あらかじめどのような物であるかを知っておくと安心です。
CATツールは会社で指定されるの?
大抵の場合はそうですね。解説動画やウェビナーなどで勉強するのがおすすめです
翻訳者になるための⼀般的な流れ
翻訳者になる最も一般的なルートは以下の3ステップです。
スクールや講座を活⽤して学習する
ある程度の英語力が身に付いたら、翻訳スクールや翻訳講座を受講して実務的なスキルを学びます。
もちろん独学で勉強してもOKですが、まったくの初心者が一から独学で翻訳を学ぶのはハードル高め・・・
経済的な余裕があれば、プロから指導を受けられるスクールや講座を利用するのが確実です。
詐欺まがいの講座には気をつけないとね・・・
「TOEIC300点でも翻訳者になれる!」みたいな講座には要注意です!
私が受講した翻訳講座&おすすめの翻訳スクールについては、以下の記事をご覧ください。
トライアルを受験する
ほとんどの場合、翻訳会社と契約するためにはトライアルに合格しなければなりません。
トライアルは、いわゆる入社試験のようなもの。
翻訳会社は、以下の能力を評価するためにトライアルを実施しています。
- 基本的な語学力
- 翻訳スキルと専門分野の知識
- 人間性や適性
語学力はもちろん、レスポンスの早さや慎重さなどもチェックされています。
納期やルールの厳守を徹底しましょう
トライアルに合格するコツについては、以下の記事で解説しています。
翻訳会社に登録される
トライアルに合格すると翻訳会社の一員としてリストに登録されます。
すぐに仕事をもらえない場合もありますが、オファーを受けられる体制は万全!
自分の条件とスキルに見合ったオファーが来れば、翻訳者としてのキャリアをスタートできます。
- LinkedInやアメリアなどのプラットフォームで直接オファーをもらう
- 知人の紹介で会社に登録してもらう
- 転職エージェントから仕事を紹介される
上記のケースでもトライアルを受けるのが一般的です
「翻訳者になるまでのロードマップ」と「自分に合った翻訳会社の探し方」については、以下の記事をご覧ください。
翻訳者として成功するために必要なこと
初心者であってもベテランであっても、翻訳で成功するために意識すべきことは同じです。
私が特に気をつけていることをいくつか紹介します。
常に学び続ける姿勢
近年ではAIの台頭に伴ってMTPEの需要が増えており、翻訳者自身もさまざまな選択を迫られています。
安定的に仕事を受注するには、AIをうまく活用しながら高品質な翻訳を提供することが重要!
常にアンテナを高く張り、知識をアップデートするために勉強を続けることが成功のカギです。
- 英語&日本語のトレンドや新たな用法を把握できる
- 各分野の最新情報を取得できる
- 複数のツールを使いこなすことで仕事の幅が広がる
ぺんさんも毎日アプリで英語学習してるよね?
スピーキングが苦手なのでアプリで練習してます。英文も日常的に読むように心がけています
AI時代でも安定的に仕事をもらう方法については、以下の記事をご覧ください。
ネットワーキングと権威性の確立
フリーランスの場合は特に、翻訳会社や翻訳者仲間とのつながりが強みになります。
私の場合、会社の上司から新たなプロジェクトに誘ってもらえたことがありました。
自分のスキルや希望をアピールする機会にも繋がるので、業界の関係者との交流はおすすめです!
- 同じ会社の翻訳者仲間や上司と仲良くする
- 翻訳団体のイベントやセミナーに参加する
- XなどのSNSで翻訳者と繋がる
- LinkedInでビジネス関連のコミュニケーションを構築する
翻訳団体に所属してセミナーに参加するのもおすすめです
フィードバックを素直に受け止めて学習する
翻訳で成功するためには、クライアントや翻訳会社からのフィードバックを素直に受け止めることが重要。
「仕事が途絶えてしまう」と悩んでいる人は、以下に当てはまっていないかどうかをチェックしてみてください。
- 翻訳講座の添削や実務でのフィードバックに反発してしまう
- 「自分が評価されること」ばかり意識してクライアントのニーズを無視している
- 指摘されたことを見直さず、同じミスを繰り返してしまう
- 上司や同僚の愚痴ばかり言っている
翻訳が上手でも、クライアントが設定したルールを徹底できない人は仕事をもらえません・・・
「自分自身が満足する翻訳ではなく、クライアントが求める翻訳を提供しよう」という意識を持つようにしましょう!
私もダメ出しされまくって成長できました!
翻訳で成功するには言語力の他にも継続力やコミュ力が必要!
今回は、翻訳者として安定的に稼ぐために必要なスキルや資質について解説しました。
この記事のポイントをまとめると・・・
- 「学ぶのが好きな人」「自己管理能力が高い人」は翻訳者に向いている
- 元から英語が得意でなくても翻訳で成功できるチャンスはある!
- 語学力と一緒に「コミュニケーション能力」「素直さ」「自己管理能力」も身に付けよう
- ネットワーキングやアドバイスを活かせる力も成功のカギ!
翻訳者としての信頼を築いて安定的に仕事を得られるように、ちょっとした意識改善から始めてみてくださいね。