- そもそもトライアルってなに?
- 翻訳会社ってどこで探すの?
- 未経験でも受験/合格できる?
- トライアルに合格するコツや注意点を知りたい!
翻訳者を目指している皆さん、「未経験ではトライアルに合格できない」と思っていませんか?
うん、初心者にはハードル高そう・・・
ネット上の情報も少ないから不安ですよね
「何度もトライアルに挑戦しているけど、なかなか合格できない」と悩んでいる人もいるかもしれません。
しかし、未経験でも1年以内に合格するチャンスは十分にあります!
- トライアルとは「翻訳会社が実施する入社テスト」のこと
- 一定の英語力があれば、未経験でもトライアルに合格できるチャンスあり
- 翻訳専門の求人サイトを活用するのが効果的
- 翻訳品質以外にも「トライアルルールの徹底度」や「慎重さ」をチェックされる
私は未経験から6か月で10社以上のトライアルに合格し、合格後から途切れることなく仕事をもらっています。
この記事では、私の実体験に基づいて「トライアルの概要」「翻訳会社の選び方」「トライアル攻略法」について詳しく解説します!
翻訳トライアルとは?
まずは、翻訳トライアルの概要について説明します。
翻訳トライアルの目的
各翻訳会社では、翻訳者の以下の能力をチェックするためにトライアルを実施しています。
- 翻訳経験の有無
- 翻訳者の基本的な翻訳スキル
- レスポンスの良さ
- ルールを徹底できる慎重さ
- 企業が求める条件を満たしているかどうか
これらの点について、さらに詳しく見ていきましょう。
「英日翻訳」のトライアルについて解説します!
1. 翻訳経験の有無
求人情報を見てみると、「翻訳経験3年以上」などの条件が設定されている場合がほとんどです。
しかし、「未経験可」の求人も意外と多いので安心してください!
企業の案件を受けたことがなくても、履歴書に修了した翻訳講座などを記載しておきましょう。
未経験でも講座を修了していると有利です
2. 翻訳者の基本的な翻訳スキル
翻訳会社はこれを最も重視しています。
「TOEIC 900点以上」などの条件はあくまで目安であり、たとえTOEIC満点でも翻訳スキルが低ければトライアルには受かりません。
英文を理解≫正確かつ自然に訳出できることが必須要件となります。
翻訳会社では、500ワード程度のトライアル課題において「文法力・読解力・日本語表現のセンス」などを包括的にチェックします。
3. レスポンスの良さ
トライアルに応募すると、ほとんどの場合メールで連絡が来ます。
この時点からすでにレスポンスの良さが評価されているので、「メールにはすぐに返信!」を心がけましょう。
基本的なやり取りはメールやチャットになるので、レスポンスが遅い人は信用してもらえません・・・
4. ルールを徹底できる慎重さ
翻訳会社の担当者からのメールには、以下のような情報が記載されています。
- トライアルの概要
- 締め切り
- 答案に使用するファイル形式
- 条件 (機械翻訳の使用可否など)
- 問い合わせ方法 (質問がある場合の連絡先や方法)
まずは最初のメールをしっかりと読んでルールを把握するようにしてください。
特に注意すべきことは、「提出課題のフォーマットや表記」などのルールです。
たとえば、以下のようなルールが設定されています。
トライアルルールの例
- 原文に訳文を上書きする (原文は消す)
- Word形式からPDF形式に変換してメールに添付する
- .docx ファイルで提出する
設定されているルールは確実に守り、慎重さをアピールしましょう。
ルールを無視しただけで不合格になってしまうことも・・・
5. 企業が求める条件を満たしているかどうか
履歴書などの情報をもとに、以下の点について会社のニーズを満たしているかどうかを判断されます。
- 単価 (例: 1ワードあたり8 〜 9円)
- 専門分野
- CATツール*¹ の使用可否
- 短期希望 or 長期希望
*¹ CATツールとは、Computer Assisted Translation(コンピュータ翻訳支援)ツールのことで、その名が示すように、翻訳のプロセスを容易にしてくれるコンピュータプログラムです。
クリムゾン・ジャパン社のウェブサイトより引用
未経験者は希望単価を高く設定しすぎないようにしましょう。
経験を積んでいけば、徐々に単価アップできるチャンスもあります。
最初は会社の希望単価に合わせるのがベストです。
最初は10円/word 以下が無難です
翻訳における専門分野も重要です。
「IT知識はまったくないし、デジタルが苦手」という人がIT翻訳を希望しても、会社にとってのメリットはほとんどありません。
専門分野を特定できていない場合は、翻訳学校や通信講座で学んだ分野を明記しましょう。
翻訳トライアルの試験形式と問題
実際に出題されるトライアル問題について、私の実体験を踏まえて解説します。
トライアル問題の種類
英日翻訳のトライアルでは、ほとんどが「英文を日本語に翻訳する」課題です。
中には「英文法や翻訳の基礎知識」に関するテストを実施している会社もあります。
- スタイルガイドを読み、ルールに関する問題に答える
- 英文法問題
- 特定の分野に関する知識を問うテスト
「英文を日本語に翻訳する」ベーシックな課題がほとんどですが、予備知識を問われるケースもあるということを覚えておいてくださいね。
ワード数
会社によって異なりますが、300ワードから1,000ワード程度の英文を翻訳する課題が多いです。
初心者の場合は特に、慣れるまでは訳出に時間がかかります。
制限時間が設定されている場合は別として、十分な時間をかけてじっくり取り組みましょう。
課題のフォーマット (形式)
これも会社によってさまざまですが、一般的なフォーマットの例を挙げておきます。
- Wordファイルに直接回答を記述する
- PDFファイルの問題を見ながらWordファイルに訳文だけを記述する
- Excelファイルの指定列に訳を記入する (UI翻訳の場合など)
- CATツール上でファイルを読み込み、訳文を入力する
個人的にはWord形式が多かったです
訳文の提出期限
私が受けた会社では、平均で5〜7日程度の納期が設定されていました。
納期の延長を申し出ることは可能ですが、やめておいたほうが無難でしょう。
体調不良や家庭の都合などのやむを得ない事情がある場合は、きちんと状況を説明したうえでお願いしてください。
え!延長をお願いしないほうがいいの?
片手間で受けていると思われたら不利ですし、事情がない限りは期限内に提出したほうが良いです
翻訳トライアルのプロセス①: 応募する
トライアルの概要を理解できたところで、実際に応募してみましょう!
主に以下の2つの方法で応募します。
方法①求人サイトの翻訳案件に応募する
一般的な企業の求人サイトと同様に、翻訳者向けの求人サイトが存在します。
具体的には、以下のような形態で募集されているケースが多いです。
- Xプロジェクトの追加メンバー募集 (期間限定)
- 約2,000ワードを翻訳できる方 (単発)
- 案件を長期的に受けられる方 (長期)
求人の詳細や期間を確認してから応募しましょう。
おすすめの翻訳求人サイト
チェックすべき求人サイトは、日本または海外の翻訳会社によって異なります。
それぞれおすすめのサイトを紹介します。
日本国内の翻訳会社を探す
日本国内の翻訳会社では、以下のような求人サイトで募集を行っています。
翻訳者ネットワーク 「アメリア」 | 国内最大級の翻訳情報サイト 国内の大手翻訳会社の求人だけでなく、翻訳スキルを伸ばすための情報をチェックできる | ||
翻訳者 ディレクトリ | 翻訳者&翻訳会社の検索サイト 主に国内の翻訳会社の求人 (海外の求人もあり) を検索できる | ||
ビジネス版SNSのようなコミュニティサイト 翻訳や関連業務の求人の検索&応募が可能で、企業からオファーをもらえるチャンスもある |
特にアメリアでは、会員のみが閲覧できる翻訳に特化した求人を公開しています。
アメリア経由で求人に応募する方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
海外の翻訳会社を探す
海外の翻訳会社の求人を探す場合は、以下のサイトがおすすめです。
Translation Directory | 海外の翻訳会社の求人を検索可能 企業からオファーを受けられる確率が高い | ||
ProZ.com | 翻訳者&翻訳会社の検索サイト (海外企業向け) 海外の翻訳会社の求人を検索できる 自分のプロフィールに履歴書や飜訳サンプルを掲載できる | ||
Glassdoor | 海外版Indeedのような求人サイト 海外の翻訳会社の求人が随時更新されている | ||
Gengo | 大手翻訳サービス会社 未経験でもテストに合格すれば低単価で案件を受注でき、ランクアップするにつれて高単価の案件も受けられる 大手翻訳会社Lionbridgeの子会社 |
ProZ Blue Board」では翻訳会社の評価も参照できます。
「方法②翻訳会社に直接連絡する
求人サイトの案件に応募する方法のほかに、翻訳会社に直接メールして応募する方法もあります。
求人サイトで募集がない場合でも、「翻訳会社のウェブサイト」や「LinkedIn」などで会社情報をチェックしてみてください。
メールでトライアル希望である旨を伝えて、履歴書を添付するとスムーズです。
アポなし営業なので誠意ある態度で!
ウェブサイトで採用情報をチェック
翻訳会社のホームページには「採用情報」「会社概要」などのページがあります。
海外の翻訳会社の場合は 、「Career」「Contact Us」のように表記されている場合がほとんど。
そこで会社の連絡先 (メールアドレス) と採用担当部署を確認し、直接メールを送ればOKです。
クライアント情報をチェック
翻訳会社のウェブサイトを見れば、主なクライアントや強みとしている分野がわかります。
たとえばメディカル翻訳を希望している場合、医療系が得意な翻訳会社を狙うとよいでしょう。
- その会社のクライアント (どの業界との取引があるのか)
- CATツールは何を使用しているのか (情報が開示されている場合)
- 求人情報にきちんとした条件が明記されているか (雇用形態・採用プロセスなど)
海外の翻訳会社に関する注意点
海外の翻訳会社の場合、採用プロセスが曖昧な会社もあります。
特に、以下のような会社には注意が必要です。
- 未経験なのにトライアル不要で登録できる
- Skypeなどで個人的に案件を打診してくる
- 契約に関する説明もなく仕事のオファーを送ってくる
ほとんどの場合、トライアルは必須です。
契約プロセスが曖昧である場合は、安易に登録しないように気をつけましょう!
やたらとSkypeが来るときは無視したほうが良いです
翻訳トライアルのプロセス②: 書類審査
トライアルに応募しても、必ずしも受験できるとは限りません。
多くの場合、書類審査に通った場合のみトライアルを受験できます。
書類審査を通過すると、メールなどでトライアルの概要と問題が送られてきます。
書類審査を通過するためにやるべきこと
必要書類の確認と準備
必要書類は翻訳会社によって異なりますが、一般的には以下の書類の提出が必要です。
- 履歴書 (CV/レジュメとも呼ばれる)
- 職務経歴書 (これまでの職務実績などを記載したもの)
- リファレンス (前の勤務先などからの推薦状) ※海外の翻訳会社では優遇されることもある
まずは、「履歴書」「職務経歴書」の2点を準備しましょう。
履歴書のアップデート
第一関門を通過するために、履歴書などを最新版にアップデートしておきましょう。
履歴書に記載すべき事項については、以下を参考にしてください。
- 翻訳経験
- これまでの勤務経験
- 希望レート: 1ワード8円など
- 希望する勤務時間: パートタイム/フルタイム
- CATツールの使用経験: ある場合
- 資格/受賞歴: TOEICや英検などの語学系の資格 etc.
- 翻訳学校/通信講座の受講歴
履歴書に書くべき目安はTOEIC900点以上です
リファレンスを依頼する
英語や日本語のスキルをアピールするために、元の勤務先や大学などに推薦文を依頼してもよいでしょう。
海外の翻訳会社では「リファレンス」が重視されており、信頼や実績をアピールできます。
推薦文なんて簡単に書いてもらえるの?
一定期間の勤務実績や評価があれば、会社側も喜んで書いてくれますよ
翻訳トライアルのプロセス③: 課題に取り組む
いよいよトライアル本番です!
最初のメールをしっかり読むところから始めましょう。
締め切りをチェックする
メールなどで締め切りを確認し、答案を提出するまでのスケジュールを立てましょう。
締切1日前までに仕上げるつもりで前倒しで取り組むことをおすすめします。
翻訳経験があれば1時間で300ワード以上の翻訳が可能ですが、初心者の場合は時間がかかります。
たとえば500ワードのトライアル課題であれば、丸一日かけてじっくり取り組めるようにスケジュールを組みましょう。
不測の事態に備えて、多めに時間を見積もっておくと安心です
ルールを把握する
「スタイル・フォーマット・参照すべき資料」などが指定されている場合、まずはこれらのルールを確実に把握できるようにしましょう。
特に注意すべきルールの例
スタイルガイドや用語集が設定されている場合は、特に慎重にチェックする必要があります。
スタイルガイドが提供されている場合
「スタイルガイド」とは、あらかじめ設定された翻訳のルールが記載された資料です。
会社によって内容は異なりますが、主に以下のようなルールが規定されています。
- スタイル・表記のルール
「英数字は半角を使用」「大文字と小文字の間に半角スペースを挿入」など
- 文章や言葉における表現のトーン (TOV: Tone of Voice)
「ですます調を使用」「カジュアルな表現は避ける」など
- 地域/文化的な配慮と標準化 (ローカライズ) ルール
「貨幣の単位は日本円に換算」「人名は英語のまま表記」など
用語集が提供されている場合
「用語集」とは、クライアントが承認した訳語や推奨表現が一覧表示された資料です。
「Terminology」と呼ばれることもあり、翻訳する際には辞書的に使用します。
トライアルでも用語集が提供される場合が多いので、必ず記載された訳語を使用するようにしましょう。
ファイル名が指定されている場合
「ファイル名は [名前_2023_08] に変更」といった指定があれば、必ずこのルールに従います。
「トライアル概要」などのガイドラインに明記されている場合が多いので、提出前に確認しておくことが必要です。
実務では、CATツールなどから直接翻訳を納品するケースがほとんど。
しかし、トライアルでは「慎重さを評価する」目的でファイル提出を求める会社が多いです。
細かい配慮ができることをアピールしましょう
訳文を作成する
ルールに従って英文を翻訳します。
事実の裏付けを取るために、ウェブ検索などを活用してリサーチすることも重要です。
訳文の作成に役立つ無料ツール
Linguee
Lingueeは、センテンス単位で用語を串刺し検索できる無料サイトです。
「実際の文書の中で用語がどのように訳されているか」を参照できます。
JTF日本語スタイルチェッカー
JTF日本語スタイルチェッカーは、日本翻訳連盟 (Japan Translation Federation) が提供する無料の日本語チェックツールです。
条件を指定した上で、日本語の表記ミスなどを簡単にチェックできます。
見直しをして提出する
見直しは絶対に行ってください!
誤字脱字 (Typo) があるだけで不合格になるケースもあります。
以下の点について最終チェックを行い、完璧な状態で提出できるよう心がけましょう。
- 読みやすく自然な言い回しになっているか
- 誤訳や訳抜けはないか
- 単位 (数字など) の誤りはないか
- スタイルの不整合はないか: 「ですます調」と「である調」の混在/半角と全角記号の混在など
- 用語集に記載された訳を使用しているか
翻訳トライアルのプロセス➃: 合否の連絡&契約
トライアルの合否結果については、1週間程度で連絡が来る場合もあれば1か月以上かかる場合もあります。
メールをこまめにチェックして、合格の連絡を受けたらすぐに返信するようにしましょう。
私がトライアルに合格し、実際に仕事を受注した経緯については以下の記事をご覧ください。
合格から契約の流れと不合格時の対策
ほとんどの場合、合格/不合格にかかわらず結果が送られてきます。
会社によって異なりますが、以下のようなプロセスを経て契約するのが一般的です。
- 合格通知メールを受信→返信
- レートや契約条件の交渉
- 契約書の締結
トライアルの合否を問わず、結果の詳細 (得点/エラー箇所など) は公開されない場合がほとんどです。
残念ながら不合格になってしまった場合には、改めて英文法のおさらいや読解力の強化を行ってスキルアップしましょう。
私は、文法書・添削サービス・翻訳講座のテキストを使用して復習していました。
文法学習や添削サービスについては、以下の記事をご覧ください。
未経験でも飜訳トライアルにチャレンジすべき!
国内外に無数の翻訳会社があるため、未経験者でもトライアルに合格するチャンスは十分にあります!
トライアルに合格するには翻訳力がカギですが、ルールの徹底などの慎重さも評価されます。
- 未経験でもトライアルに合格できるチャンスはある
- 翻訳専門の求人サイトを活用して慎重に会社選びをしよう
- 翻訳の質だけでなく「トライアルのルールの徹底」も重要
- 日頃からスキルアップを心がけて最短合格を目指そう
まずは、今回ご紹介した求人サイトで自分に合った翻訳会社をを探してみてください。
皆さんがトライアルに合格できますように!