- 「英語力が高い=優秀な翻訳者」はウソ?
- 翻訳に日本語力が重要な理由は?
- 稼げないの&仕事が来ない人は日本語力に問題あり?
- 日本語力を高める方法を知りたい!
翻訳学習者&初心者の皆さん、こんな疑問を感じていませんか?
翻訳者にはもちろん高い英語力が必要ですが、それだけでは安定的に仕事をもらえません。
え・・・英語力が高くてもダメなの?
もちろん英語力は必須です。
TOEICハイスコアも強みですよ
じゃあ仕事が来ないのはなんで?
日本語力不足も原因かもしれません
- 英語力が高いだけでは優れた翻訳者とはみなされない
- 日本語力不足によって翻訳品質が下がってしまう
- 安定的に仕事をもらっている人は文章力や表現力も高い
- 「本」「オンライン講座」「既存の翻訳」を利用して日本語力を高めるのがおすすめ!
未経験のうちは安定的に仕事をもらうことが難しいのも事実です。
しかし、英語力も日本語力も高い人は翻訳会社からの信頼度が圧倒的に高いのも事実!
月収50万を維持している現役翻訳者の私が、日本語力を強化して安定的に仕事を獲得する秘訣をご紹介します。
日本語力不足が翻訳に及ぼす影響とは?
なぜ翻訳で日本語力が重視されるのでしょうか?
それは、不自然な日本語によって翻訳品質が低下してしまうからです。
たとえば、以下のようなリスクが生じてしまいます。
読み手に「翻訳しました」感が伝わってしまう
「質の良い翻訳」とは、あたかも日本人が書いたかのような文章にすることです。
次の英文について、機械翻訳の訳と日本語的に自然な訳を比較してみてください。
- 英語原文
-
If company-owned computers were open to all employees, many of the them would use them to access social media platforms.
- 機械翻訳の訳
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会社所有のパソコンが全従業員に開放されれば、多くの従業員がソーシャルメディアにアクセスするためにそれらを使うだろう。
- 日本語的に自然な訳
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全従業員が会社所有のパソコンを使えるとしたら、大半の人はそのパソコンからソーシャルメディアをチェックするだろう。
「開放されれば」ってちょっと変な感じかも・・・
たしかに、機械翻訳による訳は誤訳 (mistranslation) ではありません。
しかし、日本人が書いた文章としては稚拙で直訳的な印象がありますよね。
翻訳会社やクライアントは、後者のような自然でわかりやすい訳文を求めているのです。
AIと翻訳については、こちらの記事でも解説しています。
冗長で読みにくい文章になってしまう
翻訳では 「Readability (読みやすさ)」や 「Fluency (流暢さ)」が重要です。
「シンプルかつ読みやすく、一息でストレスなく読める文章」を書くためには、日本語の文章力と表現力が欠かせません。
では実際に、冗長な表現と改善案を見てみましょう。
こう考えたりすることもあったりします。
時にはこう考えることもあります。
A社が提供するサービスの範囲は、BからC、D、Eまで多岐にわたっています。
A社ではB、C、D、Eなどのさまざまなサービスを提供しています。
内容は同じでも、日本語のチョイスによって印象がガラリと変わりますよね。
コンテンツの意図が伝わらない
正しい日本語を使うことはもちろん、英文の意図やターゲットを意識して最適な訳語を選択することも重要です。
翻訳するコンテンツのジャンルは多岐にわたります。
たとえば、ゲーム翻訳と法務翻訳では使うべき日本語表現も違ってきます。
以下のNG例を見てみましょう。
- ゲーム翻訳で「〜するものとします」のような硬い表現を使う
- 法務文書で「〜しましょう!」のような砕けた表現を使う
この例からわかるように、翻訳者にはコンテンツの種類に合わせて表現を使い分ける柔軟性が必要なんです!
日本語力が足りていない翻訳者の3パターン
日本語が不自然&表記に配慮していない
前項で機械翻訳の訳を挙げましたが、明らかな誤訳はありませんでした。
しかし、翻訳者には「文法的に間違いがなければよい」という考え方はNGです!
- 無生物主語をそのまま訳している (例: PCは私にAをさせてくれます)
- 能動態と受動態が混在している
- ら抜き言葉を使っている (例: 食べれます)
- 読点を多用していて一文が長すぎる
- むやみに漢字を使用している
こなれた日本語を使いこなすためには、このようなNGポイントを避けなくてはなりません。
漢字表記を調べる時には「記者ハンドブック」が便利です!
文章のスタイルを整えるために、辞書的に使うことをおすすめします。
「記者ハンドブック」を適用している翻訳会社も多いです
とりあえず訳せばよいと思っている
翻訳者にはライティング技術も求められます。
たとえば、プロの翻訳者は以下の基本ルールを徹底しています。
- 表記やスタイルを統一する
- 代名詞などの不必要な訳語は省略する
- 原文の意図に合った表現を取捨選択する
「スタイルガイド」という表記ルールに従って翻訳するのが基本です!
機械翻訳を使用した場合、以下のNGポイントを完全に回避することはできません。
- 日本語のスタイルが統一されていない (例: 常体と敬体の混在)
- 省略すべき代名詞 (you/they/itなど) もすべて訳出している
- 動詞の訳に工夫がない (例: provideをすべて「提供する」と訳している)
機械翻訳にはない日本語力を駆使できれば、翻訳会社からの評価も上がります!
オウンドメディアや雑誌などに掲載される一般の読者向けの記事を翻訳するときは、誰にでもわかりやすい、美しい文章にしなければなりません。
引用元: 株式会社 十印のウェブサイト
この作業は、外国語が話せる素人や機械翻訳には不可能でしょう。文才のあるプロの翻訳者だからこそ、質の高い翻訳サービスを提供することができるのです。
日本語の文法知識やリサーチが足りていない
文法や敬語のルールは日本人にとっても難しいもの。
だからこそ、翻訳者には日本語の勉強やリサーチが重要なんです。
- 二重敬語を使っている (例: 拝見させていただきます)
- 類義語からベストな表現を検討していない
- 「てにをは」を誤って使っている (例: シールが貼っていない面)
- 間違った送り仮名を使っている (例: 承わる)
文法の正確さ以外にも、翻訳者には以下のリサーチが必要です。
- 人名・地名などの名称が公式サイトやWikipediaでどのように表記されているか
- クライアントはどの表記を求めているか (例:「プロダクト担当者」or「製品担当者」)
- 言い回しや表現が時代や文化に合ったものになっているか
日本語力を鍛えて仕事を得るための勉強法3つ
私は校正者としての実務経験がありますが、正しい日本語知識や表現力は訓練すれば身につきます。
短期間で日本語スキルを高めるために、本や講座を利用するのもおすすめです!
ここでは、私が「やってよかった」と感じる勉強法を紹介します。
①本を読んで日本語力 (文法・語彙・表現) を強化する
最初から言語学に特化した専門書を読むのではなく、自分が苦手な分野に絞って勉強すると効率的です。
私は基礎的な日本語文法から学び直しました
翻訳者の日本語力強化におすすめの本
校正者・翻訳者としてキャリアを積んできた私のおすすめ本をすべて紹介します!
日本人のための日本語文法入門
なんとなく理解していた日本語文法がクリアになる一冊。
「これは何で間違いなの?」という疑問を解消しやすくなります。
シンプルで読みやすいので、日本語文法に自信がない人はこの本から始めることをおすすめします!
てにをは辞典
日本語のコロケーションを学べる本。
語と語の結びつきを把握できるので、自然な日本語表現が浮かびやすくなります。
助詞の使い方に迷った時に辞書的に使うのもおすすめです。
うまく言おうとすればするほど間違いやすい「敬語」
普段使っている敬語の間違いに気づかせてくれる一冊。
「お見えになられました」のような誤った敬語表現に気付けるだけでなく、相手や読み手に配慮した言い回しも学べます。
校閲記者も迷う日本語表現
2023年に発売された新しい本です。
「トレンドを踏まえて日本語を使いこなす重要性」を認識し、固定観念にとらわれない考え方ができるようになります。
コロナ情勢に関する言葉も取り上げられており、読み物としても楽しめる一冊です。
②質の高い翻訳の日本語表現を参考にする
大手海外企業では自社のホームページを多言語化してるので、オンラインでプロの翻訳を参照できます。
日本語版と英語版のページを検索&比較する方法
例) Intel、Dell、Microsoft など
日本語/英語のどちらのページでもOK
日本語のページ➠英語のページ
英語のページ➠日本語のページ
に切り替えて確認する
プルダウンから English または Japanese (日本語) を選択して切り替えます。
URL内の言語コードを書き換えます。
例) Microsoft のホームページの例
https://www.microsoft.com/ja-jp (日本語)
➠”ja-jp” を “en-us” に変更します。
https://www.microsoft.com/en-us
同じページが英語表記で表示されます。
英語 ⇔日本語に翻訳されていないページはエラーになります
英語と日本語を比較すると、翻訳時にどのような日本語表現が使われているかがわかります。
中には機械翻訳を使用している企業もあるので、著名な企業のサイトを参照するのがベストです。
「翻訳者になるための具体的な学習法」はこちら
③講座を受講して体系的な日本語知識を身につける
日本語力強化に特化した講座もあります。
翻訳講座ではありませんが、私は文章力を鍛えるために短期間の講座を受講しました。
最短で効率よく学習したい人&本が苦手な人におすすめです!
\ セルフコースなら49,800円!/
プロによる添削や質問サポートあり
気軽に質問できるし、添削がすごくよかったです
できる翻訳者になるためには日本語力が重要!
今回は、「稼げる翻訳者になるための日本語力の重要性&日本語力を磨くコツ」について解説しました。
この記事のポイントをまとめると・・・
- 翻訳者には英語力&日本語力の両方が求められる
- 日本語力が乏しいと「質の良い翻訳」を提供できない
- 文章力や表現力に長けている人は仕事を受注しやすい&稼ぎやすい
- 本や講座、既存の翻訳を上手に活用して日本語力を高めよう!
翻訳で成功するために日ごろから日本語をブラッシュアップする習慣をつけましょう!
高い翻訳品質を維持できれば、「仕事を任せたい翻訳者」として信頼してもらえるはずです。