- 日本の翻訳会社と海外の翻訳会社は何が違うの?
- 英語力に自信がなくても海外の会社と契約できる?
- 海外のほうが翻訳単価が高いってホント?
- 初心者におすすめの翻訳会社を知りたい!
「どこの翻訳会社に登録すべき?」と迷っている皆さん、日本と海外の翻訳会社の違いをご存知ですか?
日本と海外では、翻訳単価・仕事量・企業方針・コミュニケーション方法などに大きな違いがあるんです。
海外の会社では英語のみでやり取りするの?
基本的にはそうなります。メールもチャットも英語ですね
単価が高いなら海外のほうが良くない?
そうとも言い切れません。「向き不向き」や働き方を考慮して選ぶことも重要です
- 日本と海外では翻訳単価・仕事量・企業方針・コミュニケーション方法が異なる
- 海外の翻訳会社では「英語でやり取りできる高い語学力」が必要
- 欧米の翻訳会社では翻訳単価が高く、仕事量も多い傾向がある
- 初心者のうちはアジアの翻訳会社で低単価案件を受注するのもおすすめ!
私の場合、初心者の頃は中国やインドの翻訳会社で下積みしていました。
初心者でも比較的スムーズに案件をもらえたので、実務経験を積むにはピッタリでした!
単価はかなり低めでしたけどね・・・
国内外の翻訳会社で仕事をしてきた私の実体験をもとに、「国ごとの翻訳会社の違い」「翻訳会社選びのポイント」を詳しく解説します。
翻訳者にとって会社選びが重要な理由
手当たり次第にトライアルを受験する人もいますが、あらかじめ翻訳会社をリサーチすることが重要です。
ここでは、その理由を一つずつ詳しく解説します。
理由①国によって翻訳需要が異なるため
英→日翻訳は原文が英語なので、英語圏の国からの依頼が多くなります。
日本の翻訳会社でも海外の案件を扱っていますが、英→日翻訳案件の多さは海外の翻訳会社に軍配が上がります。
以下のサイトでは、さまざまな国の求人をチェックできます。
欧米以外にもアジア・中東などの求人もあります
アジア圏 (主に中国・インド) の翻訳会社では、単価は低めでも案件数が多い傾向にあります。
「日本の翻訳会社と契約していてもなかなか仕事が来ない」という人は、海外の翻訳会社にも目を向けてみてください。
理由②翻訳単価の差が収入に大きく影響するため
翻訳会社によって単価が異なるように、国によっても単価に差があります。
以下の表で各国の平均的な翻訳単価を見てみましょう。
- 日本の翻訳会社: 8~10円
- アジアの翻訳会社 (日本以外): 6~8円
- 欧米の翻訳会社: 9~11円
※これらの値は平均的なレートであり、すべてこの限りではありません。
どこの翻訳会社でも能力に応じた単価アップは見込めますが、日本やアジアの会社はベース単価が欧米よりも低めです。
単価が1円違うだけでも月収は大きく変わるもんね
さらに、欧米の会社では単価交渉がしやすいというメリットもあります!
会社によって差はあるものの、欧米の会社では「品質が良ければいつでも単価アップします」という考え方が一般的。
年功序列を重視する日本とは異なり、経験が浅めでも「マネージャ」や「リード翻訳者」のポジションに昇進できるチャンスがあります。
私がリード翻訳者になったのは、入社からわずか1年後でした
理由③自分に合った環境を選ぶと働きやすいため
仕事量や単価を重視しがちですが、自分にとって働きやすい環境を選ぶことも重要です。
以下の表は、私が「日本/海外の翻訳会社で仕事をしてみて感じた印象」です。
このように、国によって企業方針やコミュニケーションの温度感が異なります。
個人的な見解ですが、海外の会社のほうがやり取りがカジュアルだと感じます。
会社選びに迷ったら「自分にはどんな環境が最適か?」を考えてみると良いでしょう。
「単価が低くても体制がしっかりしているほうがいい」という人もいるよね
逆に「何よりも単価重視!」という人もいるので、好みで選べばOKです
日本の翻訳会社と契約するメリット
メリット①企業としての対応がきちんとしている
日本の翻訳会社のメリットは信頼性の高さです。
契約・仕事の割当・支払などのプロセスが明確なので、トラブルもほとんどありません。
海外の会社では「誰に連絡すればいいかわからない」と戸惑うことがありますが、日本の会社ではまずあり得ません!
- きちんと契約を締結したうえで仕事を受注できる
- 担当者が随時サポートしてくれる
- 時間に余裕を持って仕事をアサイン (割当) してくれる
- 請求・支払プロセスが明確で、振込の遅延もほとんどない
マニュアルもわかりやすいから安心!
メリット②日本語でやり取りできる
「日本語が通じるかどうか」は重要なポイントです!
英語力に自信がない場合、メールから資料確認までをすべて英語でこなすことは難しいでしょう。
日本の翻訳会社には日本人の担当者がいるので、基本的には英語でやり取りする必要はありません。
スタイルガイドやインストラクションも日本語なの?
100%ではありませんが、日本語で提供している会社が多いですね
- プロジェクトマネージャー (PM): 翻訳プロジェクトの進捗&品質管理や翻訳者の割当など行う
- 人事担当者: 翻訳者の採用・給与・勤怠管理などの人事業務を担当する
- 翻訳コーディネーター: クライアントとのやり取りを含むプロジェクト&スケジュール管理などを行う
メリット③トレーニング (OJT) 環境が整っている
採用プロセスが整った会社では On the Job Training (OJT) と呼ばれる実地研修を実施しています。
海外でも実施している会社はありますが、日本の研修制度は日程やプロセスなどがわかりやすいのが特長です。
- 翻訳支援ツール (CATツール) の使い方
- 一連の翻訳業務の流れ
- 自社システムへの認証作業やシステムの活用法
海外の翻訳会社では、採用当日にいきなり案件を割り当てられることもあります
特に初心者は戸惑ってしまうね・・・
日本の翻訳会社と契約するデメリット
デメリット①海外の会社に比べて仕事量が少ない
英日翻訳の場合、日本の翻訳会社から受注できる仕事量が少ない傾向にあります。
大手グローバル企業などでは定期的に翻訳案件が発生しますが、そこをピンポイントで狙うのは難しいもの。
以下は、これまでに私が受注した案件の例です。
- イベントの販促資料 (約5,000ワードの案件×3件) 【単発】
- ユーザー向けのマニュアル (約4,000ワード/週×3か月) 【期間限定】
- 中小企業のプレスリリース (約2,000ワード/件) 【随時】
- ソフトウェアUI (約10,000ワード/週) 【継続】
【継続】は定期的に仕事をもらえるってこと?
そうです。でも、私の場合は【単発】や【期間限定】の案件が多かったですね
デメリット②経験がないと定期的な仕事を受注しにくい
日本の翻訳会社では、海外のように翻訳者の入れ替わりが激しくないのが特長です。
日本では「キャリアアップするために転職を繰り返す」という考え方が浸透していないので、それもひとつの理由かもしれません。
何よりも品質を重視する日本の翻訳会社では、経験のあるベテラン翻訳者のほうが仕事を受注しやすいと言えるでしょう。
初心者は不利ってこと?
たとえ初心者であっても「質の高い翻訳を提供できる人」は重宝されますよ
デメリット③欧米の会社に比べて単価が低い
前述したようにアジア圏の翻訳会社では単価が低い傾向にありますが、日本の翻訳会社も単価が低めです。
SNSでも「日本の会社は単価が低い」という声が目立ちます。
昔は中国の翻訳会社の仕事は低単価ってイメージでしたが、もはや日本は格安国になっています・・・。最近来たスカウトのオファーを見て、日本国内の翻訳会社の方が安くて愕然としました。
— 星読み風水師 PAXLUNA 高橋ともえ (@paxluna_tomoe) November 6, 2023
日本は欧米諸国と比べて物価が安いわけだから、日本の翻訳会社が設定する単価が欧米諸国の翻訳会社の単価より低いのはしょうがないといえばしょうがない。とはいっても限度というものはありますが。
— A Patent Translator (@IP_Translator) July 17, 2023
初心者の場合は1ワード7円程度でスタートすることが多いですが、欧米の会社では10円以上で契約できるケースもあります。
経験を積んで単価交渉しないと厳しいね
安定的に質の高い翻訳を提供できれば、経験が浅くても交渉の余地はありますよ
海外の翻訳会社と契約するメリット
メリット①クライアントや案件が豊富
海外では、自国のクライアントを多数抱えている翻訳会社が多いです。
世界的に認知度が高い企業はもちろん、日本語への翻訳事業を展開しているローカル企業も増えています!
日本の翻訳会社よりも多種多様な案件が揃っているので、翻訳分野を開拓できるというメリットもあります。
- ハードウェア製品のマニュアル・ウェブページなど (約2,000ワード/日×ほぼ毎日)
- 企業の販促資料・ウェブページ・ビデオ (約2,000ワード/日×ほぼ毎日)
- ソフトウェアUI (5時間/日×毎日【時給制】)
ぺんさんはIT関係が多いんだよね?
IT分野でさまざまなクライアントの案件を経験しました
ビデオの翻訳もあるんだね!
海外では翻訳する媒体も豊富ですね
メリット②欧米の会社では単価が高い&交渉しやすい
欧米の翻訳会社は日本やアジアの会社よりも単価が高めです。
私は主にLinkedInの求人やスカウト経由で登録していますが、1ワード10円以上の求人もザラにあります。
- 13円/ワード (イギリス・Webマーケティング)
- 12円/ワード (アメリカ・ソフトウェアUI)
- 3,000円/1時間 (アイルランド・ITマーケティング)
また、日本の会社と比較すると「より気軽に単価交渉できる」風潮が見られます。
単価交渉ってドキドキしない?
海外の会社ではみんな頻繁に単価交渉していますよ
交渉して単価アップできたことはある?
「ダメ元で交渉してみてよかった」と思うことが何度もありました!
メリット③実力主義だからキャリアアップも可能
海外企業は実力主義なので、能力次第でマネージャ職などに昇進できる可能性があります。
私の場合、数年間翻訳者として仕事をしていた会社で品質を評価され、リード翻訳者 (Language Lead) に抜擢されました。
年功序列を重視する日本企業では難しいことなので、一気にモチベーションが上がりました!
ある程度経験を積んで実力をアピールできれば、昇進のチャンスもあるんだね!
野心的な努力が報われるチャンスが多い気がします
私が翻訳月収50万円を達成した経緯については、こちらの記事で解説しています。
海外の翻訳会社と契約するデメリット
デメリット①担当者の対応が適当であることが多い
海外の翻訳会社では、「連絡ルートがわかりにくい」「担当者がコロコロ変わる」というトラブルが多めです。
「メールで問い合わせたのに何日経っても返事が来ない!」という連携トラブルもしばしば・・・
日本のようにきっちりと対応してもらえないことが多いので、人によっては不安やストレスを感じてしまうかもしれません。
- 直属のマネージャとして紹介された人が翌週には辞めていた
- メールの返信が遅い人が多い
- 問い合わせ先がわかりにくく、何度も同じことを説明する羽目になる
担当者がコロコロ変わるのは不安・・・
業務の引継ぎが適当なこともありましたね・・・
デメリット②時差を考慮する必要がある
中国や韓国などの近隣国であれば問題ありませんが、時差がある場合は注意が必要です。
例として、アメリカ時間 (太平洋標準時・PST) と日本時間 (日本標準時・JST) を見てみましょう。
アメリカ (PST) | 日本 (JST) |
午前 9:00 | 午前 2:00 |
午後 2:00 | 午前 7:00 |
アメリカの会社とやり取りする場合、業務連絡が多い朝の時間帯が日本では夜中にあたります。
夜中に急な対応を迫られることもあるので、日本の時間帯で仕事したい人には不向きです。
ぺんさんも「夜型になった」って言ってたよね
完全に夜更かし生活になりました・・・
デメリット③急に企業方針が変わることがある
業務規約や支払方法などの大規模なものだけでなく、翻訳ツールの変更やルールの改訂といったさまざまな変更があります。
海外では、このような変更を予告なく実施する会社もあります。
日本の会社なら事前に予告があるものだよね?
海外ではその予告期間が極端に短いこともあるんです
- 突然CEOが辞任し、後任がなかなか決まらない
- CATツールが突然変更された
- 半月後に時給からワード単価での支払に変わると言われた
慣れてくると柔軟に対応できるようになると思いますが、最初のうちはビックリするかもしれません。
実務経験がない翻訳初心者におすすめの会社
これまでに説明したメリット・デメリットを考慮して、初心者におすすめの翻訳会社を紹介します!
初心者向けのおすすめ①中国・インドの翻訳会社
中国・インドの翻訳会社では単価が低めですが、初心者でも小さな案件を受注しやすい傾向にあります。
経験不問の求人が多く、初心者でも挑戦しやすいのもポイント!
扱っている案件数も多めなので、仕事の数をこなして翻訳経験を積むことをおすすめします。
日本語を話せる担当者がいる会社もあります
ただし、以下のような会社には注意してください!
- 契約書の締結を省略している
- 担当者がSkypeなどで個人的に案件を打診してくる
- 支払方法や振込に関する説明があいまい
初心者向けのおすすめ②日本の翻訳会社
日本にも経験不問でトライアルを受験できる翻訳会社があります。
翻訳者ネットワーク「アメリア」
検索する際に【未経験可】に絞って探してみてください。
前述したように、日本の翻訳会社ではOJT制度が充実しており、対応もしっかりしています。
ベテラン翻訳者の指導のもとで勉強できるチャンスも多いので、スキルアップしたい人におすすめです。
私も素晴らしい先輩翻訳者からアドバイスをいただきました
翻訳者ネットワーク「アメリア」の入会特典や活用法ついては、以下の記事で解説しています。
クラウドソーシングで仕事を探す方法については、以下の記事で解説しています。
働き方とニーズに合わせてベストな会社を選ぼう!
今回は、日本と海外における翻訳会社のメリット&デメリットや翻訳会社の選び方を解説しました。
この記事のポイントをまとめると・・・
- 単価・企業方針・コミュニケーション方法は国によってさまざま
- 英語力に自信があるなら海外の翻訳会社に挑戦すべき
- 高単価&キャリアアップを望むなら欧米の翻訳会社が狙い目
- 初心者は「中国・インドの翻訳会社」や「未経験可の日本の翻訳会社」で経験を積もう
単価だけに着目せずに、自分の能力や働き方に合わせてベストな会社を選びましょう!